令和3年9月8日
高崎経済大学 学長 水口 剛
日頃より本学の新型コロナウイルス感染症対策に協力して頂き、ありがとうございます。また、授業環境や日常生活など、必ずしも以前と同じとはいかない面もあり、ご不便をおかけしています。陽性者数の推移を見る限り、いわゆる第5波のピークは越えたようにも見えますが、まだまだ油断できないと考えています。
昨年度は大部分の授業を遠隔へと移行する中で、友人ができないことの不安や孤独感、大学施設を十分利用できないことへの不満を訴える声などを多く聞きました。今年度は対面授業を大きく増やしてきましたが、後期の開始を前にして対面授業をしないでほしいという意見もいくつか届いています。このように学生の皆さんの意見は多様なのですべてに応えることは難しいのですが、大学としてはそれらのさまざまな声に耳を傾けつつ、客観的な状況の判断と大学本来の役割も踏まえて、バランスの取れた対応をするよう心がけています。
以下では、新型コロナウイルス感染症に対する本学の対応の全体像を確認したうえで、後期授業の実施に関する基本的な考え方を説明したいと思います。
1.新型コロナウイルス感染症に対する本学のこれまでの対応
(基本的な感染症対策)
対面授業は十分な感染症対策を取った上で行っています。まず、学内では常にマスクを着用することをお願いし、入退室のたびに手指消毒するよう各教室の入り口にアルコール消毒液を置いています。また、各棟に検温器を設置しています。体調不良の場合や濃厚接触者となった場合には大学に来ないことをルールとし、教室では原則として一席おきに着席することとしています。マスク着用、手指消毒、3密の回避などの基本的な対策は引き続き有効であると考えています。
(大人数講義等への対応)
履修登録者数が200名を超える講義科目等について、対面授業の実施に加え、その授業を録画したものをオンデマンド配信することとしました。これにより、大人数での講義に対して心理的な不安を感じる方等にはオンデマンドで受講する選択肢を提供するとともに、教室での「密」の度合いを下げることができました。なお、前期の授業開始当初、ネットワーク環境の不備から別教室への配信等で不都合が生じたケースがありました。その後、できるところから順次改善してきましたが、ご不便をおかけしたことをお詫びします。
(課外活動等への対応)
課外活動等についても、社会の感染状況の変化に応じて制約を設けてきました。たとえば群馬県の「社会経済活動再開に向けたガイドライン」の警戒度4への引き上げ時には、対外試合、遠征、合宿等は中止または延期することを求めました。また、まん延防止等重点措置の適用に際して課外活動時間を午後8時までとし、体育館等の利用も午後8時までとしました。さらに緊急事態宣言の発出を受けて、部活動・サークル活動の休止を要請し、教室・体育館等の使用も禁止しました。
(ワクチン接種の案内)
ワクチンの接種は任意ですから、接種するかどうかの判断は個人に委ねられています。本学では、接種を希望する方が接種できるように機会の提供をしてきました。7月には県央ワクチン接種センターに大学枠が設定され、全学生・教職員に案内をしました。8月にも改めて県央ワクチン接種センター及び高崎市での接種について情報提供しました。さらに9月には大学構内に会場を設けて高崎市による接種が行われることとなりました。
(陽性者の発生状況等)
4月、5月に新型コロナウイルス陽性者が発生しましたが、その後6月、7月とゼロを続けてきました。7月最終週から8月にかけて再び陽性者が発生しました。8月30日以降、本日までは陽性者ゼロとなっています。陽性者に対する本学保健室等の聞き取りから、本学の学生の皆さんがどのような経路で陽性になるのか、おおむね明らかになってきました。代表的なものは飲酒を伴う会食(いわゆる飲み会)や友人との長時間のドライブなどのようです。一方、学内での接触で陽性となった例は確認されておらず、教室でのリスクはきわめて低いと考えられます。
2.後期授業の実施に関する基本的な方針
後期授業の実施にあたっては、以上のような本学のこれまでの対応の実績を踏まえ、前期と同様、新型コロナウイルス感染症に関わる社会の状況と、感染リスク対策の強化に伴う学生の皆さんの不利益とのバランスに配慮して対応していきます。
まず陽性者の数を見ますと、ピークだった8月20日の25,868人から、9月6日には8,234人へと減少していますが、まだ十分警戒が必要なレベルと考えます。一方、9月7日時点で1回目の接種を終えた人は日本全体で全人口の60.0%、2回目も終えた人は48.3%となっています。
このような状況下、全面的に遠隔授業に移行すれば授業での感染リスクに対する不安はなくなりますが、大学で友人ができない、普段話す相手がいないなどのことから学生の中には孤独感を募らせる人も出てくると思われます。学生活動等を通じて人間的に成長する機会も減少しますし、対人関係を構築するスキルを学ぶ機会を失うことは、長期的にみて弊害が大きいものと考えます。
そこで全面的な遠隔授業か対面授業かという二者択一ではなく、前期と同様に大人数講義科目等ではオンデマンド配信を併用することで、感染リスクの低減と学生の皆さんの成長の機会の確保の両立を図っていきたいと思います。
なお、群馬県での緊急事態宣言が延長された場合、または再度緊急事態宣言が発出された場合には、感染リスクの低減対策をより強化するために、オンデマンド配信を併用する講義科目等の基準を200人から150人へと下げることとします。これにより学生の皆さんの選択肢を増やすとともに、教室での「密」の度合いをさらに下げられると考えています。